2004年5月31日  読売新聞

滅量・再資源化へ武蔵野市が指導

 東京都武蔵野市は20日までに、同市内に新築される民間の大型分譲マンション(50戸以上)に、生ごみ
処理機の設置を指導していくことを決めた。マンションから出る、ごみを減らし、再資源化を効率的に
進めるのが狙いで、自治体が民間のマンションに処理機設置を求める方針を打ち出したのは全国でも
初めてという。

出来る「たい肥」は緑化に活用来年度末にも「第1号」

 設置指導の対象となるのは、今後建設される50戸以上の大型分譲マンションで、ワンルーム
マンションは除かれる。条例などは制定せず、建設を計画している事業主と市との事前協議の際、
処理機の設置を指導し、協力を求める。建築の青写真段階で要請することになるため、事業主も設計の
変更に応じやすく、市では「義務付けに近い効果が期待できる」としている。市開発指導課によると、
同市には大型マンションの建設申請が毎年3、4件ある。すでに1件で建設業者と協議を進めており、
早ければ来年度末には適用第1号のマンションが完成する。処理機の購入費は基本的には事業主の負担
となる。また、維持費は住民から集める管理費で賄うことになるため、市は、入居規約に処理機の費用
負担を明記するよう求めるが、今後、維持・管理、買い替えについての補助金交付も検討する。
 こうした指導方針について、大季マンション建設・販売会杜は「ごみ滅量と資源化は時代の要請で、
今後、生ごみ処理機を付けた形で販売するマンションが増えていくだろう。自治体側から要請があれば
前向きに対応していくことになる」と話している。生ごみ処理機には、チップ(おがくず)やたい肥中の
バクテリアなど微生物の働きで生こみを分解する方式や、ヒーターの熱でこみを乾燥、減量する方式な
どがある。マンションに設置される集合型処理機は一日に生ごみ約五十キロを処理できるタイプが
中心で、購入費は一台350万円前後という。機種の選定については事業主に任せる方針だ。
処理されて出来るたい肥は、マンション敷地内の樹木や芝生などの緑地、各家庭でのガーデニングなど
に使われるほか、余った分は農家に売り込むことも検討する。同市では、民間への要請に先立って、
すでに先月末、都市墓盤整備公団に申し入れて、同市桜堤の公団住宅(計600世帯)に公団側の負担で
計13台の処理機を設置した。設置されている処理機は、大きな貝殻やエビ、カニの甲羅などの分解は
困難で、事前に分別する必要があるが、この住宅に住む主婦は「ごみを分けるのは少し面倒だが、
24時間いつでも捨てることが出来るのは便利」と話している。