2004年5月31日 朝日新聞(夕刊) |
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ごみ処理 悩む離島-八丈島の処分場計画めぐる騒動に見る- 推進派が当選 反対派しぼむ「来年の夏には、もうこの風景は見られなくなりでしょう。ごみをなんとかしないといけないのは わかるのですが」亜熱帯を思わせる豊かな森を前に、反対運動に取り組む住民団体「水海山の緑と水を 守る会」の事務局長、長田隆弘さんがつぶやいた。町有地である約7万平方メートルの森が処分場の建設予定地で、八丈島と南隣の青ヶ島これから出る17年間分のごみ焼却灰を埋め立てる計画だ。 島の大半は富士箱根伊豆国立公園に入り、予定地も公園内にある。建設には環境省の許可が必要だが 環境省は今月、特例として建設を容認する方針を決めた。計画のきっかけは99年の旧厚生省通知 だった。ずさんなごみ処理やダイオキシンが全国的な問題になり、ごみ焼却灰を遮水シートのない 処分場へ埋めることが禁じられた。八丈島でも、それまでの処分場が使えなくなった。伊豆諸島の8 町村は費用を出しあい、大島と八丈島に二重の遮水シートを敷いて汚水の漏れを防ぐ「管理型処分場」 をつくることを01年に決め、大島は06年から操業している。八丈島では、当初の候補地の用地買収 が地元住民らの反対などで難航し、06年に第2の候補地として選び直したのが水海山だ。近くに集落 はなく、もとの候補地より水源地が遠いことなどが決め手となった。しかし、予定地の標高は約400mと 高いため、事故や災害が起これば、処分場の汚水が水源の流れ込みかねないと反対が広がった。昨年 11月には、計画凍結や追加の環境調査を求める署名に、島の人口の半数近い約4千人が名前を連ねた。 処分場建設の事業主体の東京都島嶼町町村一部事務組合はすぐさま選定手順も安全性も「問題ない」 として計画通りに建設する方針を決めた。今年1月の町長選では、建設計画を進める自民、公明推薦の 現職に対抗し民主党衆院議員の元秘書が建設反対を掲げて立候補し建設の是非が大きな争点になった。 元秘書は善戦したものの、現職が当選した。 条件を逆利用 循環型追及も 八丈島で反対運動がしぼんだのは、島から出る焼却灰を大島管理型処分場に受け入れてもらっているという負い目がある事情か大きい。量は年451t(08年度)と大島の404tを上回り、諸島の8町村で最も 多い。環境省によると、家庭ごみの最終処分場は全国で1853施設(07年3月末現在)。典型的な迷惑 施設であるため、新規の立地はどこでも難しい。国内の埋め立て可能な処分場の容量は98年から8年 連続で減っている=表。ただ、リサイクルやごみ処理有料化などによって最終処分場にまわるごみは 減っているため、このままいけばあと何年で処分場が満杯になるかを示す「残余年数」は伸び、なんと かもっておいるのが現状だ。家庭ごみは自治体による域内処理が原則になっているが、都会の自治体の 場合、ごみの量が多く、処理しきれない分を地方簿処分場で請け負ってもらっているところも少なく ない。06年度には、関東地方のごみの13.2%、中部地方の8.2%が最終処分のために域外へ流出した。 離島の場合、地理的制約からリサイクルや域外処理もままならない。ただ、徹底して「域内」に こだわる島もある。沖縄県の宮古島は、「エコアイランド構想」を掲げ、サトウキビの搾りかすや家庭 ごみなどからバイオ燃料や堆肥などを作るリサイクル施設を整備した。地下水を守るのに加え、環境 教育や観光の振興にもつなげようというねらいがある。京都大環境保全センターの酒井伸一教授は、 こう話す。「空間が狭い離島は条件の悪さを逆に利用して、域内でエネルギー資源を無駄なくやりくり する先進例を追求しやすい面もある。廃棄物の量を減らしたとしても最終処分場は必須だという前提の もと、それぞれの地域あった循環型システムをめざすべきだ。」 |