2008年6月18・19日  静岡・朝日新聞
2008年6月18・19日静岡・朝日新聞

「おから」がバイオエタノールに-イモの皮と合わせ活用-

 おからとイモの皮からバイオエタノールを作り出し、自動車の燃料に利用する技術を静岡油化工業
(長島磯五郎杜長静岡市駿河区)や県などが共同開発した。農作物を原料とするバイオ燃料は温暖化対策
として注目を集める一方で、穀物価格の高騰につながるという指摘も出ている。食品廃棄物による
エタノール製造はこれらの指摘を解決できると期待され、全国でも珍しい試みだ。

静岡の企業と県などが開発

 県庁前で18日、同社が製造したエタノールを3%含む「E3ガソリン」、を使用した車の走行試験の
出発式があった。杉崎修二・県環境局長は「洞爺湖サミットがまもなく開かれ、温暖化対策はまった
なしの状態。(食品の)残渣を利用したもので、循環型杜会の形成に役立つことを期待したい」と
あいさつした。同杜が開発したバイオエタノールは、食品廃棄物のおからとイモの皮が原料。これらを
発酵させた後、特殊装置で蒸留して濃度を上げてエタノールにする。おからを原料としたエタノール
製造は全国で初めてという。 発案は2年前。本業として生おからを飼料原料に加工するなかで
エタノールヘの利用を思いつき、県工業技術研究所やサッポロビールと共同研究を進めてきた。
静岡油化工業の担当者は「おからに不足している糖分をどう補うかが難しかったが、イモの皮が解決
した」と振り返る。バイオエタノール生産は米国やブラジルなど世界で広がっている。一方で、今月
開かれた「国連食糧サミット」では、サトウキビなど農作物を原料とする燃料は、穀物価格の高騰に
つながるという批判も招いた。他県では、サトウキビなどを利用したエタノールの製造技術が開発
されているが食品廃棄物の利用は珍しい。同杜は「食糧と燃料が競合することはない。普及させて
いきたい」と胸をはる。今年度は、燃費計算や車体への影響などを調べる。その後は各地のガソリン
スタンド店で供給先を探す予定だ。バイオ工タノール:バイオ燃料の一種。サトウキビやトウモロコシ
などの農作物や廃木材などに合まれる糖質、でんぷん、セルロースなどを原料に作るアルコール燃料。 石油などの化石燃料と異なり・櫃物は成長過程で二酸化炭素を吸収しているため、燃やしても二酸化炭素は増滅しないと見なされる。

おからが燃料:走行実験”発進”-静岡で車両出発式-

 おからから製造したバイオエタノールを3%混入したE3ガソリンの走行試験が18日スタ一トした。  おから乾燥販売の静岡油化工業、県工業技術研究所、サッポロビールなどが取り組む産学官
プロジェクト。県庁前でE3ガソリンを使用した車両の出発式を行い、一年間実証実験を進めることを
確認した。
 E3ガソリンを入れた静岡油化工業の社用車が県庁周辺を走り、走行試験が始まった。同社の池ケ谷明
営業部長がバイオエタノールのサンプルを見せながら、2月末に新設された製造プラントの仕組みを
説明した。関係者10人が県豆腐油揚商工組合のおから処理指定工場から届いたおからをこのプラントで
糖化し、発酵する一連の製造の工程の解説に耳を傾けた。